2009年 07月 14日

橋場報告 山谷地域の高齢化

5月9日に行われた勉強会に参加された小磯明さんがこの地域の問題に深く関心を持ってくださいました。
聞いて見たことにプラスして、ご自分で調べられたことも含めて寄稿してくださいました。
何回かに分けて発信します。
 

山谷地域の高齢化と住宅保障
 日本文化厚生農業協同組合連合会職員  小 磯  明

2. 山谷地域の高齢化

(1)橋場2丁目アパート
 橋場2丁目アパートは、9号棟、10号棟、そして15号棟の3棟で構成される都営アパートである。3つのアパートの名称に連続性がないのは、台東区が号棟の名称として、台東区橋場2丁目16番15号に所在することから、「15号棟」と名づけたことによる。つまり、9号棟の住所は9号に所在し、10号棟は10号に所在することになる。
 まず、現在の橋場二丁目アパート及び周辺住宅の世帯・人口・高齢者の状況を表1から確認してみよう。
 15号棟は、他の号棟に比べて世帯数、人口が多い。15号棟の世帯数は9号棟の4.4倍、10号棟の4.7倍である。同様に棟の人口を比較すると、9号棟の4.3倍、10号棟の4.9倍である。このように15号棟は、世帯数、人口とも他の棟に比べて多いことが第一の特徴である。
 次に、15号棟の世帯数241のうち、高齢者世帯数(率)は70世帯(29.0%)であり、単身世帯数(率)は40世帯(16.6%)である。9号棟(高齢者世帯21.8%、単身世帯12.7%)、10号棟(高齢者世帯5.9%、単身世帯5.9%)の高齢化状況と比べて高齢者世帯と単身世帯の率が高いことが第二の特徴である。これを人口でみると高齢化率はさらに高くなり、9、10号棟が2割前後であるのに対し、15号棟では37.2%と4割近くが高齢者という状況になる。65歳以上高齢者のうち、一人暮らし高齢者数では9号棟が44.0%と4割を超えることに目を引かれるが、15号棟でも3割を超える一人暮らし高齢者55世帯が生活しており、世帯数が多いことを考えると見守りや支援の必要性は強調されるべきである。

表1 橋場二丁目アパート及び周辺住宅の世帯・人口・高齢者の状況
※ 表が示せませんでした。
  すぐに載せるようにします。

注1)本表でいう「高齢者世帯」とは65歳以上の高齢夫婦世帯のことをいう。「一人暮らし高齢者世帯」とは、65歳以上の単身高齢者のみの世帯のことをいう。
(出所)「住まい・福祉・まちづくりネットワーク 第5回勉強会」(2009年5月9日)細貝利夫氏提供資料に加筆して筆者作成。
(資料)2008年度に細貝利夫らが2回にわたり行った、都営住宅全戸地域訪問調査から作成。なお、正確な資料の調査年月日、及び調査方法の詳細は記載がないため不明である。
 
(2)清川住宅と石浜住宅
 住宅世帯数では、清川住宅の世帯数118、石浜住宅の世帯数は97であり、先にみた15号棟アパートほどの世帯数ではないが、9号棟、10号棟の倍ほどの世帯数を抱えた住宅である。高齢者世帯数や単身世帯数の状況は不明だが、このデータから最も注目すべきは、清川住宅、及び石浜住宅の高齢化率であろう。清川住宅の人口190人のうち、56.8%(108人)が65歳以上高齢者であり、石浜住宅の人口139人のうち実に64.7%(90人)が高齢者である。
 社会学者大野晃は、農山村の地域を観察し、過疎化などで人口の50%が65歳以上高齢者となり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落を「限界集落」と呼んだ。清川住宅と石浜住宅は、大野の言葉を借りるならいわば「限界住宅」となっている。しかも清川住宅にはエレベーターがない。そのため5階に住む高齢者は、1階から5階への移動は肉体的に厳しい状況になっている。東京都では5階の居住者を低い階へ住み替えできるようにしている。それでも4階以下に空きがでなければ住み替えはできないことは周知の事実である。そのため、まだ何軒かの居住者はそのままである。
 これらの結果は、入居者の要介護度等が不明であることから確実なことはいえないが、一般的には加齢とともに要介護度は高まり医療と介護の必要性が高まることは必然であり、生活に困難が予想される結果といえよう。
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by kentikunet-sumai | 2009-07-14 01:19 | 第5回勉強会


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